まんがメモ カテゴリの記事(新着順)
February 20, 2007
「重機人間 ユンボル」と「優&魅衣」の道尾幸司
私はこの漫画がなぜか好きで家に全巻持っていたのだが、本編自体はナンセンスラブコメという感じでありユンボルとはまったく関係が無い。問題は漫画中に時々脈絡無く出現してはなぜか道を工事する変態、道尾幸司(みちおこうじ)その人である。
漫画中の本編でなにか事件が起こる。女性の金切り声が上がる。すると彼は「む、私の出番だ!」と立ち上がるのである。 漫画中の説明はこうだ。
彼の名は道尾幸司。普段は平凡な一市民だが、ひとたび事件が起きると道路工事をはじめる、 街でよく見かける変態である!まぁそれだけの場面転換キャラなのだが、作者もよほど気に入ったのか、彼が主人公の外伝がつくられるまでになる。 しかもその二作目のストーリーは「ヨーロッパを牛耳る道路工事業者アスファルト伯爵が、 日本に眠るという工事力(こうじりょく)を狙って攻めてくる」なんていう、大変な展開になっている。 詳しい内容は習慣鷹羽 龍騎評論2解説 道尾幸司を読んでいただきたいが、 弟の清治(せいち)、父の発太(ほった)、母のローラと言う変態家族に加え、代々続く配管工ジョスイ(上水ですな)と言う「一連の道路工事を完結させる変態集団」が誕生する。 ここに加えて音速で失踪する幻の夜泣きソバと姿なき保険屋の奮闘あり、これが見事に爽快な活劇なのである。
確か最終巻に収録されていたと思うので、機会があれば是非ご一読あれ。えぇ、私はとても好きでしたよこれ。
December 06, 2006
のだめカンタービレ
(131レビュー) 「のだめ」自体は漫画好きには数年前から知られた漫画だったのだが、昨今のTVドラマのヒットで一躍世間一般にも知れ渡るようになり、 まんがめもランキングでも笑ってしまうくらいの上位独占を続けていた。16冊で6500円程度ということもあって全巻大人買いした人も多かったのだろうが、話では1,600万部を越えたとか。非少年誌コミックではずば抜けているんじゃないだろうか。
さてのだめの面白さに関してはそこらで色々書かれているだろうからざっくり割愛。 ちょっと面白いと思ったのは、主人公であるはずの「のだめ」が自分視点で進む部分が殆んど無いというところ。物語はのだめの苦悩も含めて殆どが、指揮者を目指すもう一人の主人公、千秋真一の視点で進む。こういう形式は他にも無いではないが、多少珍しいかもしれない。
その千秋だが、元々がレディース誌ということもあってこれ以上ないほどの王子様キャラになってしまっている。 美形で、(音楽の)才能があり、努力家で、性格がいいとは言えない俺様キャラだけどのだめには心を開いていて(いわば典型的なツンデレ)つーのは乙女の妄想もどこまで行くのかという感じだ。料理の腕がいいというのも最近のモテる男トレンドだろうか。 それがあまり目立たないのは全般的に境遇が苦境続きなのと、基本的に自力で道を切り開いていくという姿がいいのだろう。
ちなみにこの手の「専門系大学生」漫画にはヒットが多い。最近のものでは芸術系を扱った 「はちクロ」や農学系の 「もやしもん」、多少古いが獣医学科の「動物のお医者さん 」、医学部漫画「 メディックス」などがある。と並べてみると、ヒット率が高い割にこの手の大学の専門性を扱った漫画は意外と少ない。誰か物理学科漫画や工学部漫画を書いてみませんかね? 原案強力くらいはしますよ。
December 04, 2006
へうげもの
(11レビュー) 元々、山田芳裕の漫画は絵柄がいまいち好きになれないのである。どれも似たような顔に見えるというのはともかくとしても、あのあまりに誇張された動きや表情がどうにも気持ちが悪い。しかしそれを差し置いても読ませてしまうパワーがこの人の漫画の魅力だろう。 特にこの「へうげもの」 (ひょうげもの、と発音する) には、デカスロン以上の気合いを感じる。
恥ずかしながら連載を見ている時には古田左介が後の古田織部であることを織部の官位を授かるところまで気づかなかったため、話の骨子がよくわからずに読んでいたのだが、そこを差し引いても戦国をこんなにポップに書いている話は他に類を見ない。♥をモチーフにした旗なんてものには、もう心がときめかずにはいられない。
その一方、古田の「粋」「侘寂」を求める心と、ここぞと言うと頃ではそうしたものより己の心意気に準じる姿がおちゃらけた話に一本筋を通している。 物語自体もしっかりと歴史の勉強と取材をした上で、それを砲丸投げのようにうっちゃるような小気味よさがいい。特に織田信長の壮絶な最後の描写は、明智光秀の清洌さとあいまって迫力満点である。
氏の前作「度胸星」のような中途半端な終わりかたにはなってほしくないと思うが、結構人気はあるようなので杞憂かもしれない。
October 01, 2006
漫画におけるサラリーマンのシンデレラストーリーパターン
島:道を歩いていると女が寄ってくるプライベートでの行動が仕事に大きな影響をあたえてしまうというのが相似点。
浜崎:海沿いにいると釣り好きのおっさんがよってくる
島:セックスすると相手は大抵偉い人の愛人だったり弧度もだったりなんだりする
浜崎:釣りをすると相手は大抵偉い人だったりなんだりする
そういえばサラリーマン金太郎もわりとそういう傾向があるよね。「何気なく仲良くなった人が実はすごい偉い人」と言うパターンはある意味、サラリーマンにとってのシンデレラストーリーなのかもしれない。
それと「出世にこだわらない」と言うのもある意味でのドリーム設定として受けてるのかな。島はそれでもなんの業績があったかよくわからない間に常務までなっちゃったわけだけど。
August 29, 2006
ハトよめ5巻記念ハグキサイン会
さて行列中も暇つぶしに5巻を読んでいたわけだが、相変わらずの意味不明さが素敵だ。そう言う意味ではビーム解説の回は理路整然としすぎている感もある(これを読んで機械にビームが効かないわけが分かったんだけど。しかし十二支と言いつつハトはいいのかハトは)。あとやっぱKAZU先生はいいよね。 なおかつ書き下ろし「もりのきっさてん」の『武蔵丸!』にオオウケしたり。
しかし生まれて初めて並んだサイン会がハグキと言うのはどうなのだ俺。
August 03, 2006
リトル・フォレスト - 田舎という贅沢
スローフードやLOHASなどという言葉があるが、この漫画で生き生きとえがかれる田舎の自然と人と食はそんな単語で表されるようなものでは無く、食べることで命が体の中を通り抜け、循環していくという当り前の事を語っている。土の上で生活し、土から生まれたものを食べる幸せをこんなに素直に伝えてくれる話もないのではなかろうか。田舎の暮らしに豊かさを感じられないと言う人には、とにかく一度読んでいただきたい。 ただ漫画自体は、 2巻でやや中途半端な終わりかたをしているのが残念だ。
ところで、それじゃ田舎が都会より豊かかというとやはりそんなわけでもなく、小さな村ならば医者不足や若い人の流出による過疎、10万人以下程度の地方小都市では不景気に起因する失業や倒産の問題もよく耳にする。NHKが取り上げる程悲惨ではないが、田舎には田舎の良さと苦労がある、と言う極普通の結論になるのではなかろうかと、田舎を出て今東京で暮らしている私などは思うのだが、どうか。
June 10, 2006
からくりサーカスが終わりました
(2レビュー) そう言えば少し前にサンデーの方でからくりサーカスが終了したわけで、このマンガが名作だったというところは多分あまり異論無く受け入れられるところだと思うんだけど、いまひとつ最後の展開にすっきり感が無いなと思ってしまった。
で、どうしても「うしおととら」と言う名作と比べてしまうわけなんだけど、主人公であるはずの勝と鳴海が最後の最後にあまり絡まずに終わってしまったのが一因なのかなと(スペースシャトルでは背中合わせまで行ったんだけど、勝側からの一方的な目線でもあったし)。それと今回の終わり方は「関わった人達がそれぞれに全力を尽くす」と言う感じで、あまり力を合わせて感が無かったのも一因かもしれない。関わった人も大半はゾハナ病で動けなくなっていたりしたし。また、結局終わってみて失われたものが殆ど無いというのも藤田氏らしくない締め方かなぁと思ってしまった。
そう言った意味では、個人的にはからくり編の最後が実は一番好きかもしれない。この話では主人公は鳴海だけだったけど、一緒に戦ったしろがねが次々に倒れる中、自身もほぼ死亡した状態から皆の体の一部をもらって再生し、敵に立ち向かうという姿には漢の強い生き様を見せつけられた気分にすらなった。
まぁとは言っても少年少女向けマンガとしては非常にきれいなハッピーエンドの幕引きだったわけで、「サーカスを見た後はいつも笑顔」なのだからこれが正しい終わり方なんだろう。
あれ、ところでエレオノールの体内にあった「柔らかい石」ってどうなったんだっけ。
May 08, 2006
アルコール(2)にLINE(4)に、なんとあのメディックスも刊行予定!?
西村しのぶ先生のまたの登場に御期待ください!と書かれちゃうのはどうよ。せめて隔月程度で連載してくださいお願いします。
とは言えアルコールは単行本も発売予定。1巻が出たのが 2001年だったから、1冊出るのに 5年。まぁ西村漫画ならペースが早い方だけど…。 そして他にもなんと計3冊が発刊予定で、 アルコール(2) は 5月19日発売、LINE(4) は延期の結果 7月発売予定? そしてなんとあの メディックス が 6月30日発売予定。数年前の画伯のコメントでは「数話書き足して上下巻で出す予定」みたいな事をいっていたけど、これは結局 1冊に納めたということなのか。と言うことは加筆なし? どう考えても(SLIPにも増して)完結した切れかたではなかったんだけど。
他も LINE(4) は以前に 4月20日発売なんて言う予告が出た後にあっさりと消えているし Amazon にもまだ無い。さて何冊が予定通りに出るでしょう? という感じであり、mixi のコミュニティ でも「手に取るまでは信じられない!」と言う意見が多勢だったりするのが西村ファンっぽくていとおかし。まぁ予定どおりに出なくても怒りませんが、今年中には出るといいなぁくらいのペースで待ちたいと思います。
February 05, 2006
風の谷のナウシカ7巻セット
こちらのナウシカはアニメ版とはかなり違ってなかなか救いのない話ではある。夢を失い、泥にまみれても生きていく力というものを描きたかったのかと思うが、腐海と生死を共にするナウシカたち現人類にもう少し未来への希望を持たせても良かったのではないかと思ってしまう。とは言え、自分の中の闇を知りつつも決して否定せず、光とも闇とも寄り添って生き抜くナウシカの姿は、人間の存在価値と強さというものを十分なくらいに語ってくれている。
さて読後の後味はともかく、あれだけ縦横に伏線を張り巡らせて最終巻できっちり締めるのはストーリーテラーとして恐るべき技量だと思う。説明セリフが大量発生していることは否めないし、正直言えば後半の展開はもう少し掘り下げて +3巻くらいのボリュームにしてほしかった感はあるのだが。
August 16, 2005
デス・ノートについての思い付き
まったくの思い付きだけをメモ書きするわけだが。
初期の方でライトに殺されたナオミだが、確か彼女は殺された時点で妊娠していたはずで、この場合に親(ナオミ)がデスノートで寿命を奪われたとすると、子供の方はどういう扱いになるのだろう? と言うかこの場合に「自殺」を命じられても、実際には「自分の子供(自分以外の他人)の寿命を減らす」行為をデスノートによってナオミに指示したことになり、この場合は無効になるかなにか不整合が起きそうな予感がしないでもない。
しかしこの子供なりナオミ本人が再び登場するとしてもライトを指さして「彼が犯人です」とか言うんじゃ興醒めだし、生きていたとしたら何故今の時点までまったく影も形もないのかという疑問も出てくるので、もう出てこない可能性も高いとは思うけど思い付いたので一応書いとく。