[まんがメモ] へうげもの
Posted by yoosee at 23:18 December 04, 2006
(11レビュー) 元々、山田芳裕の漫画は絵柄がいまいち好きになれないのである。どれも似たような顔に見えるというのはともかくとしても、あのあまりに誇張された動きや表情がどうにも気持ちが悪い。しかしそれを差し置いても読ませてしまうパワーがこの人の漫画の魅力だろう。 特にこの「へうげもの」 (ひょうげもの、と発音する) には、デカスロン以上の気合いを感じる。
恥ずかしながら連載を見ている時には古田左介が後の古田織部であることを織部の官位を授かるところまで気づかなかったため、話の骨子がよくわからずに読んでいたのだが、そこを差し引いても戦国をこんなにポップに書いている話は他に類を見ない。♥をモチーフにした旗なんてものには、もう心がときめかずにはいられない。
その一方、古田の「粋」「侘寂」を求める心と、ここぞと言うと頃ではそうしたものより己の心意気に準じる姿がおちゃらけた話に一本筋を通している。 物語自体もしっかりと歴史の勉強と取材をした上で、それを砲丸投げのようにうっちゃるような小気味よさがいい。特に織田信長の壮絶な最後の描写は、明智光秀の清洌さとあいまって迫力満点である。
氏の前作「度胸星」のような中途半端な終わりかたにはなってほしくないと思うが、結構人気はあるようなので杞憂かもしれない。
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